視野共有カップルが急増。その秘密に迫る。

2025年1月17日

■視点共有カップルの新たな価値観

「お相手の方とは、毎日8時間くらいお互いの視野を共有をしています」

そう語るのは、社団法人メタバース婚奨励会の代表を務める東山正一郎さん。
東山さんのオフィスに訪れると、ウェアブルグラスをつけて、記者を出迎えてくれた。

※東山正一郎さん(32歳)

東山さんが代表を務める(社)AIバース婚奨励会では、短期間に複数の相手と効率的に同棲生活が疑似体験できるAIバース空間上での婚活を推奨している。

「2050年には日本の人口は1億人を切ると言われています。少子化がどんどん進めば、このままでは日本はダメになります。もっと結婚する人の数を増やさなければなりません。」

人口減少への対策として内閣府は、昨年より移民の増加によって国体の維持を図る方向に、大きく舵を切った。複数の施策を実施するも、いつまで経っても改善しない出生率に、しびれを切らした形だ。

■メタバース空間での婚活とは?

AIバース上での婚活は、大きな可能性を秘めているようにも思えるが、実際に会わずに婚活する事は本当にできるのだろうか?率直な疑問を東山さんにぶつけてみた。

「結婚のミスマッチをなくすには、同棲するのが一番良いと言われています。やっぱり、相手の本当の姿というのは、一緒に住んでみないとよく分からないですからね。
ただ同棲を前提にして婚活をすると非常に効率が悪くなって、もし結婚相手として適切ではないなと感じた場合、2~3年の時間が経過してしまいます。
こんな事を繰り返していたら婚期がますます遅れてしまい出生率も下がります。
この問題を解決するのが、我々の団体が推奨している視野共有同棲です。」

視野共有同棲とは、睡眠や仕事の時間以外、お互いの視野を常時接続で共有することで、AIバース空間を通じて疑似同棲をするカップルのことだ。

「視野共有型の同棲のメリットは、その手軽さです。気になる相手がいれば、すぐに視野共有同棲を始めて、お互いの本当の姿を知ることができます。最初は若干抵抗があるかもしれませんが、慣れてしまえば視野共有も気になりません。この手法を活用すると、1年の間に10人のお相手とメタバース空間を通じて、視野共有同棲を図ることができます。」

■視野共有同棲を成立させるポイントとは?

確かに、物理的な同棲と比べると、AIバース空間を前提に同棲すれば、格段に頻度が上がり、精度の高いマッチングが行えるような気がする。
仕事や日常生活で忙しい現代人に取って、休日だけではなく、平日の空き時間をつかって婚活を行うことができれば、成婚率も高まるのではないかと思われる。問題点はないのだろうか?

「問題点はとくにありません。逆によいことだらけです。同棲を試す頻度が高まりますし、もしミスマッチを感じたら、気軽に同棲を解消することもできます。

ポイントは、必要なときだけ会話するようにするという点です。物理同棲をしている場合でも常時会話をしているカップルはいませんので、視野を共有しておいて、話したくなったとき会話すると、自然な視野共有同棲が可能になります。」

体験してみないとなかなかイメージが難しい部分もあるので、東山さんの話を聞いているうちに、独身である記者も視野共有同棲を体験してみたくなった。

「先月からは、より手軽に視野共有同棲が行えるよう匿名によるマッチング事業も開始しています。参加する障壁が下がったことで、ますます多くの方にご利用頂いておりまして、今一番人気のサービスとなっています。」

■複数人と同時に同棲?!

東山さんのユニークなところは、自身もサービスの利用者として参加しながら、この視野共有同棲サービスを運営している点だ。

※1年前、社団法人を立ち上げた頃の東山さん

「もともとは自分に必要なサービスだったので立ち上げたのですが、予想以上にニーズがあって、僕自身驚いています。皆さんのメタバース婚活のお手伝いをしながら、僕自身もサービスを利用して、理想のパートナー探しに日々勤しんでいます。

運営者の特権かもしれませんが、かなりモテるようになったので、今は6人の方と同時進行で視野共有同棲をしています」

6人同時とはかなり忙しそうだ。結婚相手を見つけることができそうか訊ねると、爽やかな笑顔でこう答えてくれた。

「ひとり凄く気が合う人がいまして、その方とは10ヵ月、視野共有同棲が続いています。彼女はカリフォルニアに住んでいるので、まだ実際には会えていません。来月帰国するみたいなので、そのときに初めて会う予定です。相性がいいので結婚まで進めたら嬉しいですね。」

モテ男、東山さんの婚活は、まだまだ続きそうだ。

■取材後記

日本の国力は衰退の一途を辿っている。2050年に日本のGDPは、インドネシアやメキシコ、ブラジルに抜かれ、8位まで転落するという予測もあり、もはや打つ手なしといった状態だ。

※複数人の女性に囲まれ満足げな東山さん

大きな変化が訪れている現代において、他国の政策に習うのではなく、独自性を持った実験的な施策を、何本も並行して実施する必要があるのではいかと感じる。

今回の東山さんの取り組みは、まだ小さな影響しか与えることができていないかも知れないが、現状を打破するには、このようなサービスの一般化を行政が後押しするなど、従来では考えられないような思い切った決断が必要なのではないか。

記者 大坪潜在 
潜在取材日2025年1月15日
予測執筆日2023年2月28日